緩やかに朽ちてく僕の世界の片隅に

僕の中で紡がれた物語や思考や独り言がこぼれ落ちて霧散するまでの記録

風渡る丘で君を待つ

ファイナルファンタジーXIに出会い初めてのオンラインゲームをスタートさせたわけですが最初はホントに何も分かりませんでした

僕が始めたその時点でFF11は正式サービス開始後6年が経過していました
ゲームとしては円熟し大半のユーザーはエンドコンテンツへと生活の場を移していたのです
その状況でほとんど人の居ないスタート地点の街へ知識0の冒険者が降り立ったわけですね

ちなみに誰かに誘われて始めたわけではないので教えてくれる人は居ません
リアフレと二人で手探りで進め、戦闘して死んで戻ってはまた走る
後々考えれば非効率でバカなことばかりしていましたが何もかも初めてのオンラインゲームの世界は楽しかったです

ただ他人とはほとんど関わりがありませんでした
特にその頃は移動手段が限られていたため大半のプレイヤーは賑わう街に拠点を置いていて、初期の街には一番人が居なかった時期ではないでしょうか

他のプレイヤーとすれ違うことも少なくMMOをやっている感覚はありませんでした
世界観にどっぷりハマれる魅力的な世界と、リアフレ以外会話のない生活感の無い廃墟のような世界がごちゃまぜになったなんとも言えない感覚でした

数日が経ち、戦闘をしてるだけのあまり進まない変化のない日々にリアフレが飽き始めてきました
正確には口には出しませんがなんとなく感じ取りました
FFの世界観が好きな私と違い、他のオンゲもやっていたのでハマるポイントが違かったのは致し方ありません

そんな中、リアフレが海外旅行に一週間行くことになりました
FFの世界で初めて1人です
いよいよもってこの世界がなんなのか分からなくなってきました
広い世界に1人っきりです
10分かけて適性の狩場まで走りレベル上げをするも不意に強いモンスターに絡まれ死んで街に戻りまた10分かけて走る
同じRPGというジャンルでもストーリーを追っていく家庭用ゲームとはぜんぜん違う
何も起きない
英雄でも勇者でも何でもないただの一冒険者
誰にも会わないただ1人だけの世界
ファンタジーの世界に入れるという夢のような状況にいつの間にか戸惑いを感じてました

コンシュタット高地(初期の街からほど近いフィールド)で周りを見渡し、風景に見とれながら僕はこのまま続けていくのだろうかと無意識に呟いてました

時刻は金曜日の23時15分

日付が替わったらログアウトしよう

土日はインするのかな

なんとなくしない気がする

そしたらもうずっとしないよね

・・・

そしてこの後、まさに全てを変える出来事が起きます
運命っていうほど大げさなことじゃない
奇蹟っていうほど大それたことは起きてない
でもそんな言葉を使いたくなるほど僕にとって大きな大きなターニングポイントになる出来事だったんです

時刻は23時45分

もういいかログアウトしよう
その時

「こんにちは!」

知らない人からTELLが来ました
知らない人ってそりゃそうですよねリアフレしか知り合い居ないのだから
「こんにちは」って返しました

「ごめんなさい!間違えました!」

当たり前ですね
ただその娘はそのまま続けました

「同じLvみたいなので一緒に狩りませんか?私も同じエリアにいるんですよ」

思いっきり戸惑いましたね
初めての会話でしかももうログアウトする気でしたから
そして言った言葉が

「お願いします」

きっと僕は嬉しかったんです

とても

とても

初めてやるオンラインゲームで世界観に感動して、そして孤独に心が折れかけていた僕にとって一番欲しかった言葉だったのかもしれません

二人で狩り始め色々話をしました
初めてまだ間もない事
何時くらいにインしている事
フレが全然居なくて寂しく1人で狩っていた事(笑)
その娘も同じ様な状況だったようで初めて会ったのにとても気が合いました

狩りが終わってログアウトすることになった時

「もし良かったら明日も一緒にやりませんか?」

「ぜひお願いします!」

どっちがどっちのセリフを言ったのか覚えていません
どっちでも良いんです
二人とも同じ気持ちでした

その日から毎日なんとなくイン時間を合わせるようになり、僕はコンシュタット高地でその娘を待つことになります

あの時孤独を感じてた場所ではもう無く、緑が青々と茂る風渡る丘で

しばらく経った後あの時の誤爆は本当はなんだったのか聞いた事があります
その娘は頑なに「間違えただけ」としか言いません

真相は分かりません
ただ僕に取っては、その娘との出逢いは辞める寸前だった僕の希望の光となり深く深く沈んでいく心を掬い上げてくれて、その後どっぷりとハマるオンラインゲーム人生に置いて常に高いプライオリティを保ち、一緒に冒険したりケンカしたりしながら仮想世界でも現実世界でもずっと良い友達として10年近く付き合い続ける事になるわけです

そんな風に思ってるなんて本人は全く気づいていないっぽいんですけどね